武州ゼミナールからの通信
by bushu-semi


武州通信第125号(2005・3/31)


 ライブドア(堀江貴文社長)の仕掛けたニッポン放送株問題は面白い。フジテレビ(日枝久会長)の慌てぶり、背後からソフトバンク・インベストメント(SBI・北尾吉孝最高経営責任者)更にソフトバンクグループのドン、孫正義社長の目が光る。
 面白いけど、この新旧のせめぎ合いは、日本をどこへ導いていくのかな? ついでにコクド(堤義明会長)率いる西武王国の崩壊も…。なんとも怪しい時代がやってきたものだ。 

《大学入試の極意?》の巻

 この3ヶ月間は引っ越しに翻弄され、物事をあまり深く考えることができなかった。何だか自分がバカになったような気がしてくる。ともかく引っ越しも完了し、残るは看板を立てるだけになった。新しい環境はまだ僕の気持ちをゆったりさせるには至らない。確かに内装は新しく綺麗で気分はいいのだが、何故か脱力感が襲ってくる。これには困った。まあ高校入試も大学入試も上々の結果に終わり、それも脱力感に拍車を掛けているに違いない。
 今年は大学受験についてこれまで以上にいろいろ考えさせられた。昨年春、高校三年生になるに当たって3人の生徒が武州を去り、予備校へ行くことになった。こう書いたからといって彼らを非難する気は毛頭ない。高三、周りが受験受験と騒然とし始め、仲間がみんな予備校を考える時期。だから不安が大きくなるのも無理はない。乗り遅れてはならじ、その気持ちもよく分かるのだ。  
 その結果、武州には3人の高校三年生、つまり大学受験生が残った。そのうち小山ちひろさんと小峰康史君の2人はAO入試でそれぞれ志望校(小山さんは明星大学、小峰君は聖学院大学)に早々と合格が決定した。AO入試という自己推薦入試は、面接と小論文で決まる。親の世代には分からなさが残るこの新しい入試形態は今ではかなり広まっている。
 さて次に、どの世代にもお馴染みの「一般入試」に挑んだ誠ちゃん(田実誠君)のお話。彼はみんなが予備校を選ぶ中、独り武州で受験勉強をする道を選んだ。強制される勉強は学校だけで充分だ、との判断だったようだ。つまり、武州でというよりは、自分で勉強をする道を選択したと言ったほうがいいかもしれない。うん、多分そうだろう。それに僕も、それが一番いい受験勉強の方法だ、とかねがね思っていた。と言うのも、僕は10年程前に武州と並行して某予備校で数年間「政治経済」を教えたことがあった。予備校の教室の一番前にいつも陣取っている生徒がさほど良い成績ではなく、授業にはたまにしか来ず、分からないことがあるときにのみやって来て質問し、その後雑談して帰って行く生徒が一番成績が良かった。この苦い経験が僕の実感を背後で支えている。自己弁護しておけば、僕の講義が下手だったということではない。結構評判は良かったと思う(念のため!)。つまり、主体性のない勉強は身につかない、ということなのだ。当たり前のことだ。誠ちゃんの姿を見ているとそんな僕の考えが日々実証されていくように見えた。ともかく僕の目には一番理想的な受験勉強をしているように映った。彼の能力も然る事ながら、その上自分で猛烈に勉強し、分からないところを訊きに来る。そして、武州の若い先生(萩野裕基先生、植木愛先生)に勉強の中身だけでなく、受験の心構えなどを相談する。そうすることで、受験の憂さを晴らしているようにさえ見えた。もちろん不安は人一倍強かったと思う。みんなが予備校で頑張っているのに、本当にこれで大丈夫なのか? という拭いがたい不安。「誠ちゃんの勉強方法で絶対大丈夫だよ」と僕は何度となく繰り返した。それは揺るぎない僕の確信だった。結果は、滑り止めの理科大を始め、次に慶応大学、そして最後に第一志望の東北大学の理学部(物理学系)にも合格。こうして希望したすべての大学に「合格」の花が咲いたのだった。アインシュタインの特殊相対性理論の発表から100年目の今年、「世界物理年」を記念して、武州から若き物理学徒が誕生する。
 合格発表後の誠ちゃんの言葉、それは「予備校って無駄ですよね。お金だけじゃなくて時間も…、武州でよかったですよ」。僕には予備校が“全員に”無駄かどうかは判定できない。でも、“本人が予備校に依存し、それに振り回されるなら、もうその時点で確実に無駄になる”と断言してもいいと思っている。もちろん、たとえ武州でも、本人に主体性と弛まぬ努力がなければ、レベルが高いと称される大学の一般入試には通用しないことも、また確かなのだ。
 今年大学生になった卒業生がより広くより高く飛翔することを、心より願っている。《学問》は高校の勉強や受験勉強とは一味違った(彼らにとっては)未知の、そして無限に広がるなんとも面白い世界なのだから…。

(斉藤悦雄) 
# by bushu-semi | 2005-03-31 19:34

武州通信ブログの始まり

武州通信をインターネット上で随時更新して見ていただけるように
武州通信のブログを始めてみました。
最初からの記事を掲載することは難しいので、
125号からの記事を掲載することにしました。
# by bushu-semi | 2005-02-15 20:01