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武州ゼミナールからの通信
by bushu-semi


武州通信149号(2007・7/25)

 自然っていいものですね。でも他方 怖いものでもあります。7月16日「新潟県中越沖地震」発生。3年前にも襲ったのにまた…。今回は東京電力柏崎刈羽原子力発電所での火災も! 天災が人災を同伴して…? 地震大国日本が揺れています。
 やっぱり自然を侮ってはなりません。自然は、優しくもあり、恐ろしくもあり。

《武州「昆虫記」!?》の巻

 「あっゴキブリ! 気持ちワルー」「何とかしてよ」「先生、早く殺して~」、いやはや、女の子は怖いね。で、僕が新聞紙を丸めてバスッと仕留める。これで少しは落ち着くか?と思いきや、今度は当の女生徒の口から「あーあ、かわいそう」「残酷~」、だもんね! なんだよこれ? ホント、女の子は怖いね。

 あっそうそう、この話は引っ越し前の古い武州での話ね。今の“マンション武州”でのことではありません。思えば古い武州は昆虫の宝庫?だったな。アオマツムシやコオロギ、バッタにカマキリ。蚊に刺されて「キンカン塗ってー」も。

 ところで、新しい武州にはゴキブリはいませんが、小さな蜘蛛(くも)がしばしば出現します。あれっ、まてよ、そうか? 蜘蛛は昆虫ではなかったな。足が8本もあるし…。まぁ細かいことは気にしない気にしない! で、ちょっと可愛いので僕はそこそこ気に入っているんだけれど、やっぱり女の子には不人気なようで…。「朝の蜘蛛は家の守り神」って言うじゃん、とかなんとか言い張っても、「でもさぁ今は“夜”だよ」ってすかさず反撃されてギャフン。「ムシなんてムシ」とか誤魔化そうとすると、「それってもしかしてオヤジギャグ?」とまたしても…。結局、すごすごと外に逃がしてやる僕。まぁ、授業のスキマに起こる口達者な子ども達とのこんなやり取りを楽しんでいるんだけれど。

 僕は毎朝9時前後に武州にやって来る。つまり出勤ですね。そして、自宅から武州までの旧野川沿いがいつものコース。短い時間なのだが、野草を見たり昆虫の飛翔を目で追ったりするのが楽しい。それにもう一つの楽しみがある。それは時々だけれど、卒業生の高田江利子(旧姓宮本)さんが二人の娘さんを幼稚園へ送るところに出会うこと。そして、この可愛いお嬢さん達も僕の顔を覚えていて手を振ってくれるのも嬉しい。だからあんまり会わない日が続くと「どうしたんだろう?」と気になってしまうのだ。ところで6月の下旬、久し振りに出会い、楽しく立ち話をしていると、下の方から「あっキレイ!」というはしゃいだ声がする。そちらに目をやると一匹のタマムシ(玉虫)が柵にとまっているのだ。僕はすかさずとっつかまえたね。我ながら神業だったよ。緑の金属色が陽光に輝いて何とも言えない気分になる。とは言え、さすがに発見者の所有権は無視できない。まして相手は小さな子どもなのだ。「持っていく?」と差し出すと、二人とも数歩あとずさりして首を横に振る。思わず僕は心の中で“ヤッター”とガッツポーズ。そして次の瞬間「大人気ないなぁ!」と内心赤面? だがそれも束の間、喜びのほうが数段まさっていた。なにせ 「玉虫厨子(たまむしのずし)」のタマムシなのだ。こうして武州にヤマトタマムシがやってきた。

 インターネットは凄い。タマムシを検索すると即座に情報が入る。食草は「エノキ、ケヤキ、サクラ」、えっサクラ? サクラならすぐそこの土手にあるじゃん。…と言うわけで飼育することにした。しばらくはサクラの葉をもりもり食べていたが、何故か2週間ほどで突然死んでしまった。またインターネットで調べる。「タマムシの成虫の寿命は一ヶ月ほど」。そうか?そんなに短いのか? 虫籠の中での御臨終、ちょっと可哀想だったかな?なんてちょっぴり心をよぎる。でも、すぐに忘れて即座に「標本」にする。きっと女生徒は「残酷~!」って言うだろうなと思いながら…。 ― タマムシはメタリックな緑色を基調とし、光の加減で紫、赤…に色を変える構造色。こんなに目立ってよく自然界で生きていけるなぁ?と不思議に思う。昆虫の天敵である鳥は何故か虹色に輝く構造色を本能的に避けるという。うまくできているんだね、自然って!!

 武州のちっぽけな庭には、今年はどういうわけか数匹のハグロトンボ(羽黒蜻蛉)が毎日やってくる。今も烏羽玉色(うばたまいろ)の静かな舞をゆったりゆらゆら披露している。幸せである。やっぱり小金井はいいな!と、かつての昆虫(蝶)少年、今はただの虫好きのおじさんはしみじみ思う。

 ある女生徒は言う。「先生、いつまで子どもやってんの?」
  僕は答える。「もちろん死ぬまでさ!?」        

 (斉藤 悦雄)
by bushu-semi | 2007-08-01 19:35
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